2009年10月26日(月)

CFDのレバレッジ規制

驚くに当たらないが、CFDにもレバレッジ規制がはいることとなった。すでに証券業協会では自主規制の検討がされていたようで、それを受けてかどうか、外野にはわからないが、なんとなくつながっているかのような案が出てきた。

現在十数社が扱いだしている今、FX同様にレバレッジに規制を設けるのは遅くない対応として結構なことに思われる。

回金融庁が公表した規制案はこういう感じである。

個別株     想定元本の20%以上(=レバレッジ5倍以下)
株価指数    想定元本の10%以上(=レバレッジ10倍以下)
債券       想定元本の 2%以上(=レバレッジ50倍以下)

では、欧州ではどうかというと、ヨーロッパ業者のひとつの例としてはこんなかんじである。

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■個別株をひとくくりにしていいのか

私がここで気になるのは、個別株をひとくくりにしていいのか、という点である。欧州の業者の例では、個別株のリスクは6段階に分けられ、指数は原則最低リスクグループの
5%に入れられている。あと、個別株も指数もそうだが、欧州の株だけではない。世界中の株式、指数を対象としてこのリスクカテゴリーを運用しているところに注目してほしい。要するに、個別株は何%、指数は何%という概念ではなく、あくまでも銘柄個々に、指数であろうと個別株であろうと、流動性、変動率分析を統計的に行い、それぞれのデータからリスクのカテゴリーを6段階に細かく分ける必要があると経験上判断し、最大100%、すなわちレバレッジなし(=1)のカテゴリーも運用している点に注目してほしい。

個別株の場合は、流動性が個々にかつ極端に違うし、コーポレートイベントが発生するため予測がつかず、ことがおきるとなれば時に極端なことが起こる。つまりカテゴリーの移動が頻繁に起きる可能性がある。たとえば、公開買付け、株主割当、無償増資、倒産といったイベントによって、流動性が極端に低下したり、ボラティリティが極端に上昇したりする事態が簡単にまた突然起こりうる。そうなると、10倍のレバレッジが与えられていたのに突然2倍まで絞られるということが起こりうるのである。十分ご注意願いたい。そのため、日本の今回の案のように「個別株ならレバレッジは4倍まで!」という単純な規制にしてしまうとあとあと面倒なことに陥らないか心配である。

■先人の経験に学ぶ

金融庁にせよ、協会にせよ、経験の深い欧州のCFD業者に過去の事例や現在運用しているリスクカテゴリーで問題がなかったかどうかなどをヒアリングしたりしていないのだろうか。彼らは日本株、日本の指数をすでに扱ってきているのである。そこにあるのは“たとえば”の例ではなくて、それそのもの、甘いも苦いも経てきた経験のサンプルがある。先人に学ぶことは有意義だと思うのだが、そういう実地検証や情報収集分析はすでにした上で個別株は5倍、株価指数は10倍なのだろうか。この対象には海外の株式も含まれている前提でそうするのか。現在信用取引が3,4倍程度であることから5倍でとりあえずOKと考えるならば、海外の株式銘柄も含まれていることを考慮されているだろうか。TOB等のコーポレートイベントは欧米のほうが多い。また米国と欧州、日本ではそのルールや慣習が違うため動き方に違いが出る。

■まとめると

今回は“個別株”のレバレッジを一律5倍としてしまうことはどうだろう、危険ではないかという話。そしてそれ以前に、規制を作るときそのプロセスにおいてもう少し「実証研究」、「合理性」そしてそれらの「議論(業界、規制当局、協会、個人投資家)」と、それら議論全体の「開示」の要素を色濃く出してもらえるともっとわかりやすくなるし、素直に結果を理解し、受け止めることができると思うのだが無理なお願いだろうか。特に株の場合ケースバイケースが多いのと、扱うのが国内の株だけとは限らないからである。

■コモディティ

さらにあとひとつ付け足しだが、海外のCFDは日本で言う商品先物取引(経産省管轄、商品先物業協会)も対象としている。原油、貴金属、ソフト等の先物である。ところが、日本の東工取、東穀取は対象外(システムプロバイダーが扱っていないから)でCMEやCBOT、ICEなど世界的な市場CFDが対象である。当然、証券業協会はこれらを議論の対象としていない。金融庁はどうなのだろうか?私は不勉強でこの辺の事情を知らない。ならば商品先物業協会と合同でガイドライン、自主規制をつくるという流れは生まれないのだろうか。海外系のプラットフォームを利用することが100%の現状、同じプラットフォーム、口座上でそれら取引ができる以上、そういう歩み寄りは投資家保護をうたうのであれば、ぜひあっていい話しである。話し合い、摺り寄せることは「縦」「横」関係なくできると思う。

Posted by 尾関高

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プロフィール

GCI Technology USA勤務

尾関高

1986年名古屋大学経済学部卒業。1988年サンダーバード経営大学院(アリゾナ州、米国)卒業。主に日短エクスコ(現在のセントラル短資)にて約9年間、インターバンクの通貨オプションブローカーを経験し、1998年から現在のひまわり証券(旧ダイワフューチャーズ)にて日本で最初に外国為替証拠金取引のシステム開発から立ち上げ、さらに、2006年5月に、これも日本で最初にCFDを開始、現在にいたる。
現在は、営業面のみならず、本商品にかかわるさまざまな分野においても積極的に意見具申中。
拙著に、「マージンFX」(同友館、2001年2月)と「入門外国為替証拠金取引〜取引の仕組みからトラブル防止まで〜」(同友館、2004年6月)がある。

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