2009年01月29日(木)

CFD(Contract For Difference)について(3)- 上場CFD

ついにというか今回は早速というか、TFXがCFDを上場することになった。以下がそのアナウンスメントである。

▼新株価指数先物(CFD)の上場について

では上場もののCFDの歴史はどうかというと、現在オーストラリア証券取引所(ASX)で同様のCFDが上場されている。TFXが世界で初めてというわけではない。

▼AUSTRARIAN SECURITIES EXCHANGE-CFD

古くはロンドン証券取引所でもワラントの形で上場されていたらしい。ASXのCFDも今回のTFXのそれと同じで指数そのものを原資産として取引するのだが、残念ながら近年の取引高は低迷しているらしい。以前のものは手に入っていないが、以下に2008年の取引高のチャートが載っている。

▼ASX CFD−Volume and Number od Trades(2008)

低迷する理由は明快だと実際にオーストラリアでのOTCのCFDビジネスを長年手がけてきた知人は言う。それは、オーストラリアではOTCのCFD取引が盛んである。なぜなら取引所のCFDは、マーケットメイカーと投資家の間に取引所と仲介業者(証券会社)が入るが、OTCの場合はマーケットメイカーと投資家がダイレクトに結ばれる。そのため、どうしても取引所取引のほうが、流通コストが高くなる。また、レバレッジもOTCのほうが高くかけられる。取引所のほうが低くならざるを得ない。さらには、取引所は日々の日歩から得られる収入の50%をマーケットメイカーから徴収するなど、いろいろなコストをマーケットメイカーに課したのでその分プライススプレッドがワイドになった(取引コストの上昇)。その結果(ほかにも理由はあるだろうが)、ASXのCFD取引は縮小したという意見である。

一方、指数そのものを原資産としてプライスを作るというのは、通常のOTCでのCFDとはバックグラウンドが違う。OTCで一般に採用される価格決定理論は先物価格からFair Valueを差し引いた数値に多少の調整(Expectation)を乗せて導き出すが、この価格は実際の指数とは一致しない。取引されるのは常に先物市場であり、そこには必ず未来に対する期待値が織り込まれるが、指数は実際に取引された価格の平均値でありそれはかならず実際の売買行為のタイミングに遅行して変化する。あえて簡単にいえば、先物は先行し、現物は遅行する。指数は遅行する現物の約定価格の加重平均であり必ずしも採用銘柄全部が毎秒約定しているとは限らない。先物は将来に対する期待値が入るのでつねにImplied Volatilityが内包される。したがって、マーケットメイカーの立場からすれば指数そのものをベースにしたプライスを作るというよりも、あくまでも上述のOTCのやり方で出てくる理論値に調整を加えてより直近の指数に近づけた価格がでるようにするわけで、そうなると彼らが作るBid/Askのスプレッドはその分ワイドにならざるをえないのではないかと想像する。リスクを取る側からすればそうでないと怖くて出せないとなる。かれらとて原資産市場が指数だと言われても、まさか225銘柄全部を同時に取引しながらのヘッジはできないわけで、そうなると先物市場でのヘッジを混ぜなくてはならず、自然先物市場の動きに合わせたプライシングにならざるをえない。たぶん、指数を挟んだBid/Askが常に維持されるとは限らないのではないか。(小生ならば、Bidは常に指数よりも下で、Askは常に通常のFair Valueの考え方から導き出したAskよりも内側にはできない。) 採用銘柄225のうち半分も約定しない状態でも先物が単独で値上がりしたりするときなどはそういうギャップも生まれるのではないだろうか。これはこの指数CFDだけを見つめて取引する人にとってはどうでもいいことであるが、どうでもよくないのは、そういうときはBid/Askのスプレッドはよりワイドになることである。取引コストの上昇である。

成功のカギを握るのはマーケットメイカーがどう出てくるかである。かれらが魅力的なスプレッドと流動性を提供してくれるかどうかである。個人投資家の指値だけでは到底流動性は生まれない。

Posted by 尾関高

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プロフィール

GCI Technology USA勤務

尾関高

1986年名古屋大学経済学部卒業。1988年サンダーバード経営大学院(アリゾナ州、米国)卒業。主に日短エクスコ(現在のセントラル短資)にて約9年間、インターバンクの通貨オプションブローカーを経験し、1998年から現在のひまわり証券(旧ダイワフューチャーズ)にて日本で最初に外国為替証拠金取引のシステム開発から立ち上げ、さらに、2006年5月に、これも日本で最初にCFDを開始、現在にいたる。
現在は、営業面のみならず、本商品にかかわるさまざまな分野においても積極的に意見具申中。
拙著に、「マージンFX」(同友館、2001年2月)と「入門外国為替証拠金取引〜取引の仕組みからトラブル防止まで〜」(同友館、2004年6月)がある。

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